PEFC声明書
2008年3月18日
WWFの提唱する「紙のスコアカード」に対するPEFCの立場表明書
PEFC評議会はこの度WWFが昨年11月に開始した「紙のスコアカード」に対する下記のPEFCの立場表明書を発表しました。
PEFC評議会 立場表明
WWFが開始した紙のスコアカード — 改善の余地を残す
2007年11月28日にWWFは、「紙のスコアカード」を発表した。このスコアカードの目的は、紙のすべての購入者、メーカーおよび供給者に商品選択の手助けをし、また、できる限り最小限の環境フットプリントによるグレード付けをすることである。
関連する影響要素により7つのカテゴリーがあり、それらの合計が100ポイントとなっている。ポイントのうち40%は、WWFが認めるFSC認証材あるいは消費後にリサイクルされた木材のみを原材料として調達する場合にのみ割り当てられている。
WWFは、「複数の認証制度がそれぞれ森林管理の発展に寄与してきたことを認める」としながらも、そうした認識はスコアカードに反映されていない。むしろ、このスコアカードはFSCが責任、国際的一貫性そしてバランスのとれた複数のステークホルダーによる統制などに関わるWWFの重要な要求事項に最も適合するとして、購入者が特にFSC認証を求めるよう勧めている。
PEFCは、以下の点からWWFがこのスコアカードを使用した真に有益なツールを開発する機会を見逃したとの感触を得ている。
- 市場の実態認識の欠如: 現在世界の森林の10%のみが認証を受けているのであり(これは世界の産業用丸太生産の25%に相当)、さらにそのわずか1/3のみがFSCの認証を受けているのが現状である。WWFのスコアカードは、世界で最善の管理の下にある10%の森林の中で差別化を図るべきではない。それよりも、どんなシステムによってもまだ認証されていない残りの90%の森林に焦点を向け直すべきである。
- 認証材と非認証材の区別の拒否: WWFの前提では、複数の認証制度が森林管理の発展に貢献して来たとしているが、それはスコアカードに全く反映されておらず、世界の認証林の2/3にポイントが付与されていない。信用性のある、国際的に認知された森林認証制度が、あたかも違法で持続可能でない源から調達されている可能性もある非認証林からの生産物と同等に扱われている。
WWFは、「複数のスキームが森林管理の発展に貢献してきた」と認めており、「紙の購入にあたっては、きちんと管理された森からの木繊維で作られた紙が優先されることが絶対であり、そのための最も簡単な方法は、信用できる認証制度によって認証された紙を求めることである」と言明している。にもかかわらず、WWFはこのスコアカードでFSCのみを評価することを選んでおり、しかもその意見には、これを「ベストな」制度として、他のすべての森林認証制度は信用できないという含蓄がある。
WWFは、当初からのFSC支持団体の一つであり、WWFの今回の「他の森林認証も認知はするがそれらにポイントは付与しない」というこの戦術は、このスコアカード全体についての疑問を呼ぶものである。
PEFCは、政府や民間セクターによって実行される独立した評価を通じて、責任、透明性、国際的一貫性そしてバランスのとれた複数のステークホルダーによる統制という顧客からの期待に応えていることに自信もあるし、また実際に示すこともできる。
このスコアカードを真に有益で客観的なツールにするための手助けとして、PEFCはWWFに以下の検討を促したい:
- PEFCと他の森林認証制度にも、この“ガイド”の改善に参加する機会を与えること
- 信頼できる森林認証制度のための主要な要求事項を定める際には、他のステークホルダーの観点や価値観を受け入れ、これを検討すること
- 様々な森林認証制度について、独立した透明性のある評価を行うこと
- 「最高か最悪か」のようなアプローチではなく、信頼できる認証がクリアできる最低基準を使用すること
- 「FSC か他の最悪制度か」という態度ではなく、自らの懸念事項に取り組むべくFSC以外の森林認証制度にも、積極的に関与すること
PEFC評議会はここに、WWFに対し正式かつ公式にスコアカードを改善するための開かれた対話への参加と協働を呼びかけるものである。
PEFC評議会、ルクセンブルグ